車を下取りに出すとき、必要書類のリストに「譲渡証明書」と書かれていて戸惑った方は多いはずです。
どこで手に入るのか、書き方を間違えたら手続きが止まるのか、そもそも自分でPDFを印刷して持参するものなのか。
結論から言えば、下取りの場合は販売店や買取店が譲渡証明書の用紙を用意してくれるケースが大半で、売主が自分で事前にダウンロードして持ち込む場面はかなり限られます。
筆者コメント
筆者はこれまで複数台の普通車と軽自動車の売却を経験し、いずれの場合も店舗側が書類一式を準備してくれました。
一方で、友人から車を譲り受けた際に自力で名義変更の手続きをしたこともあり、プロに任せられるありがたみを身をもって実感しています。
この記事では、そうした実体験から得た判断軸と、法令や公式情報を照らし合わせて、譲渡証明書の役割から書き方、入手方法、よくある注意点までを下取りの流れに沿って整理します。
車下取りの譲渡証明書は販売店が用意することが多い
登録自動車(いわゆる普通車)の下取りでは、所有者を変更するために譲渡証明書の情報が必要になります。
ただし、その用紙を売主が自力で入手するかどうかは別の話です。
実務上は、販売店や買取店の担当者が契約時に譲渡証明書や委任状を含む書類一式を持参し、売主は指定された欄に記入・押印するだけで手続きが進むケースが多くなっています。
まず確認してほしいのは、自分がどのパターンに該当するかという点です。
- 販売店から書類一式を渡された、または渡される予定
- 自分で用意するよう案内された
- まだ書類の話が出ていない
一つ目に該当するなら、自分でダウンロードや印刷をする必要はありません。
二つ目の場合だけ、後述する公式様式の取得が必要になります。
三つ目であれば、契約前に販売店へ「譲渡証明書はそちらで用意してもらえるか」と確認するのが最も確実です。
筆者コメント
筆者が経験した売却では、すべて店舗側が書類を準備してくれたため、事前にネットでダウンロード先を探す必要は一度もありませんでした。
検索で「譲渡証明書 ダウンロード」と調べる方は多いのですが、実際の下取りでは、ダウンロード方法よりも印鑑証明書の取得や車検証の住所確認に時間を使うほうが、手続きをスムーズに進めるうえではるかに重要です。
紙の譲渡証明書が不要になるケースもある
道路運送車両法 第33条第4項では、紙の譲渡証明書の交付に代えて、譲渡証明書に記載すべき事項を電磁的方法により登録情報処理機関に提供できる旨が定められています。
つまり、譲渡情報が電子的に処理される場合は、紙の譲渡証明書そのものを提出しないこともあり得ます。
新車購入時の完成検査終了証や譲渡証明書が電子化されている例はすでにありますし、自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)を活用した電子申請も対象手続が広がっています。
ただし、下取りの現場では紙ベースの手続きがまだ主流のため、販売店から紙の譲渡証明書を渡されたらそのまま対応すれば問題ありません。
電子化で紙が不要になるかどうかは、販売店の対応体制次第です。
譲渡証明書は所有者変更を証明するために使う
そもそも譲渡証明書がなぜ必要なのかを簡単に整理しておきます。
登録自動車の所有者が変わったときは、運輸支局で移転登録の手続きを行います。
この移転登録の際に、前の所有者が車を譲渡した事実を公的に示す書類として、譲渡証明書が使われます。
筆者コメント
道路運送車両法第33条では、自動車を譲渡する者は譲渡証明書を譲受人に交付しなければならないと定められています。
また、同条第2項では、同じ車両について2通以上の譲渡証明書を交付してはならないとされています。
これは二重譲渡を防ぐための規定で、1台の車に対して譲渡証明書は1通だけという原則を押さえておけば十分です。
下取りの場合、売主が「譲渡する者」にあたり、販売店や次の買い手が「譲受人」にあたります。
実務上は、販売店が移転登録の手続きを代行するため、譲渡証明書と一緒に委任状も提出する流れになります。
言い換えれば、譲渡証明書は「自分がこの車の所有権を手放しました」という意思と事実を公的に残すための書類です。
口頭の約束や売買契約書だけでは、運輸支局での所有者変更には足りません。
だからこそ法律で様式が定められており、実印と印鑑証明書で本人確認を行うしくみになっています。
下取り当日は誰がどこまで記入するのか
譲渡証明書の役割がわかったところで、気になるのは「当日、自分は何をすればよいのか」という具体的な動きです。
ここは、販売店が用紙を用意するパターンと、自分で準備するパターンに分けて説明します。
譲渡証明書を準備する方法別の対応
販売店が用意したら指定された欄だけ記入する
販売店が譲渡証明書を準備してくれる場合、車両情報(車名、型式、車台番号、原動機の型式)はあらかじめ印字されていたり、担当者が車検証をもとに記入済みだったりすることがほとんどです。
売主が対応するのは、譲渡人欄への氏名・住所の記入と、譲渡人印の押印です。
筆者コメント
筆者の経験でも、店舗から渡された書類には車両情報がすでに入っていて、担当者から「こちらの欄にお名前とご住所を書いて、実印を押してください」と案内される形で進みました。
全項目を自分で記入する場面はなく、書類の不備で手続きが止まる心配もありませんでした。
普通車の下取りでは実印での押印が求められるため、印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)をあわせて求められます。
当日までに市区町村の窓口で印鑑証明書を取得しておくことが、売主にとって一番大切な事前準備です。
自分で用意するなら公式様式を使う
販売店から「譲渡証明書はご自身でご用意ください」と案内された場合は、国土交通省が定めた第21号様式の譲渡証明書を使います。
ネット上で見かける独自のテンプレートやExcel形式のものではなく、定められた公式様式を使うのが確実です。
様式は後述するダウンロードの章で説明します。
自分で用意する場合は、車両情報も含めてすべての欄を自分で記入する必要があるため、手元に車検証を用意してから作業に入ってください。
記入欄の詳しい書き方は次の章で説明します。
筆者コメント
なお、自力で車庫証明の取得から陸運局での登録変更まで行った経験がある筆者から見ると、販売店がすべての書類を準備して手続きを代行してくれるしくみは、手間と時間の両面で非常に助かります。
自分で用紙を用意するよう言われた場合でも、記入方法がわからなければ販売店に聞けば教えてもらえるので、一人で抱え込まないのが大切です。
譲渡証明書の書き方は車検証と照らして確認する
販売店が用意する場合でも、内容に誤りがないか確認する意味で、記入欄のしくみを把握しておくと安心です。
国土交通省が公開している譲渡証明書の記入例をもとに、各欄のポイントを整理します。
譲渡証明書の記入欄と押印方法
車名型式車台番号原動機型式を転記する
譲渡証明書の上部には、譲渡する車両を特定するための4項目が並んでいます。
| 確認する場所 | 記入時のポイント | |
|---|---|---|
| 車名 | 車検証の「車名」欄 | メーカー名(トヨタ、ホンダなど)を記入する |
| 型式 | 車検証の「型式」欄 | ハイフンを含めて正確に転記する |
| 車台番号 | 車検証の「車台番号」欄 | 英数字を1文字ずつ正確に記入する |
| 原動機の型式 | 車検証の「原動機の型式」欄 | エンジン型式を転記する |
いずれも車検証に記載されている情報をそのまま書き写す作業です。
自分で入力する場合は、1文字でも違うと書類不備になる可能性があるため、車検証を横に置いて照合しながら記入してください。
譲渡人を上段に書き譲渡人印を押す
車両情報の下には、譲渡年月日、譲渡人と譲受人の氏名・住所、譲渡人印の欄があります。
ここで大事なのは、記入する順番です。
譲渡人(車を手放す側、つまり売主)は上段に記入します。
筆者コメント
その下の段に譲受人(車を受け取る側、つまり販売店や次の所有者)を記入する構成です。
この上下の順番を間違えると書類として成立しなくなるため、販売店から用紙を渡された場合も、自分の名前が上段にあるか確認してください。
譲渡人印の欄には、普通車の場合は実印を押します。
印影が印鑑証明書と一致していることが移転登録時に確認されるため、認印やシャチハタではなく、市区町村に届け出た実印を使ってください。
押印は、かすれや二重押しに注意しながら、印影がはっきり読み取れるように押すのがポイントです。
譲渡証明書は公式様式をダウンロードできる
販売店が用紙を準備してくれる場合はこの章の内容は不要ですが、自分で用意するよう案内されたときに備えて、入手方法を説明します。
譲渡証明書の公式様式(第21号様式)は、国土交通省の自動車登録手続案内ページからPDF形式でダウンロードできます。
ファイルを開いて普通紙(A5サイズ)に印刷すれば、そのまま記入に使えます。
筆者コメント
ネット上にはExcel形式やWord形式の独自テンプレートを配布しているサイトもありますが、様式は国土交通省が定めたものを使うのが確実です。
独自フォーマットだと余白や体裁が微妙に異なり、窓口で受理されないリスクがあります。
公式PDFをそのまま使えば、様式の適合性を心配する必要がありません。
繰り返しになりますが、下取りや買取店を利用する場合は、この作業自体が発生しないケースがほとんどです。自分でダウンロードする前に、まず販売店が用紙を用意してくれるかどうかを確認してください。
スマホでもPDF保存後に印刷して使える
パソコンが手元にない場合、スマホでPDFを表示・保存すること自体は可能です。
ただし、譲渡証明書は紙で提出する書類なので、最終的には印刷が必要になります。
コンビニのマルチコピー機を使えば、スマホに保存したPDFをそのまま普通紙に印刷できます。
印刷時に注意したいのが用紙の種類です。
感熱紙は時間の経過とともに文字が消えてしまうため、運輸支局では受け付けてもらえません。
コンビニのコピー機であれば普通紙が標準なので問題ありませんが、自宅のプリンターやレシートタイプの用紙を使う場合は、普通紙であることを確認してください。
書き間違いと印刷方法で気をつけるポイント
書き方や入手方法がわかっても、実際に記入する段階では細かなミスが起きやすくなります。
ここでは、手続きが滞りやすいポイントをまとめます。
まず書き間違えた場合ですが、修正液や修正テープを自己判断で使わないでください。
訂正方法は窓口や販売店ごとに異なることがあるため、間違えた時点で販売店の担当者に相談するのが安全です。
販売店が用紙を用意している場合は、新しい用紙をもらって書き直せることがほとんどなので、焦る必要はありません。
印刷方法については前の章でも触れましたが、改めて押さえておきたい点があります。
- 感熱紙は使わず普通紙で印刷する
- 用紙サイズはA5(様式の指定に従う)
- 印刷後に文字がにじんでいないか確認する
また、道路運送車両法第33条第2項により、同一の車両について譲渡証明書を2通以上交付してはならないと定められています。
念のために予備を作っておこうという気持ちはわかりますが、法律上、同じ車の譲渡証明書を複数作成するのは認められていません。
1通を丁寧に仕上げ、間違えたら販売店に確認する、という流れで対応してください。
販売店が用紙を用意してくれている場合は、書き間違えのリスクはさらに低くなります。
車両情報はすでに記入されていることが多く、売主が書く部分は限られているためです。
筆者コメント
もし誤記してしまっても、店舗側に新しい用紙を出してもらえるのが通常の対応なので、必要以上に緊張しなくて大丈夫です。
委任状は譲渡証明書とは役割が異なる

下取りの書類準備では、譲渡証明書と一緒に「委任状」の記入を求められることがあります。
この2つを混同しやすいのですが、役割がまったく異なります。
| 役割 | 何を証明するか | |
|---|---|---|
| 譲渡証明書 | 車を譲渡した事実を示す | 前の所有者が車を手放したこと |
| 委任状 | 手続きの代行を任せる | 売主に代わって販売店が移転登録を行うこと |
譲渡証明書は「この車を譲りました」という事実を示す書類で、委任状は「登録手続きをお願いします」という依頼を示す書類です。
下取りでは両方が必要になることが多く、販売店がセットで準備してくれるのが一般的です。
筆者コメント
筆者の経験でも、契約の際に譲渡証明書と委任状が同時に渡され、それぞれ指定欄へ記入・押印する流れでした。
別々の書類ではありますが、記入のタイミングはほぼ同時なので、身構える必要はありません。
住所や氏名が車検証と違うと追加書類が必要
ここまで読んで「書類を書くだけなら安心」と感じた方も、一つだけ注意してほしい点があります。
車検証に記載されている住所や氏名が、現在の情報と一致しているかどうかです。
引っ越しをしたまま車検証の住所変更をしていない場合や、結婚で姓が変わっている場合は、譲渡証明書だけでは手続きが完了しません。
住所変更の履歴を証明するための住民票や、氏名変更の経緯を示す戸籍関係書類の提出が追加で必要になります。
筆者コメント
筆者も過去に、車検証の住所と現住所が同じ市内ながら異なっていたことがあり、売却時に住民票の提出を求められた経験があります。
同じ市内の移動でも住所が変わっていれば追加書類は必要になるため、下取りの準備段階で車検証を確認し、記載住所と現住所にずれがないかチェックしておくのが大切です。
もし住所が異なっている場合は、早めに市区町村の窓口で住民票(住所変更の履歴がわかるもの)を取得しておいてください。
契約当日に気づくと、手続きが一時停止してしまいます。
印鑑証明書の取得と合わせて、住民票もまとめて確認しておくのが段取りとしてはベストです。
結婚や離婚で氏名が変わっている場合は、戸籍謄本など氏名変更の経緯がわかる書類が追加で必要になることもあります。
いずれも「車検証に書いてある情報と、現在の自分の情報が一致しているか」を確認するだけの作業なので、下取りの話が進み始めた時点で一度車検証を開いてみてください。
筆者コメント
複数台の売却を経験してきた中で、手続きが最もスムーズに進んだのは、印鑑証明書、実印、納税証明書、そして住所に問題がないことを事前にすべて確認しておいたケースでした。
譲渡証明書の記入よりも、こうした事前の書類チェックのほうが段取りの質を左右します。
軽自動車や原付は同じ手続きで考えない
ここまでの内容は登録自動車(普通車)の下取りを前提に説明してきましたが、軽自動車や原付は手続きの体系そのものが異なります。
軽自動車の場合、名義変更は運輸支局ではなく軽自動車検査協会で行います。
普通車の移転登録で使う譲渡証明書(第21号様式)は軽自動車の手続きでは不要です。
さらに、軽自動車の名義変更では実印や印鑑証明書も求められません。
筆者コメント
筆者が軽自動車を売却した際は、認印だけで署名・押印が済み、普通車と比べて手続きの負担が格段に軽かったのを覚えています。
原付(原動機付自転車)については、市区町村の窓口で廃車や名義変更の手続きを行うため、登録自動車ともまた別の流れになります。
筆者コメント
筆者には原付の売却経験がないため、ここでは「普通車と同じだろう」と思い込まないよう注意を促すにとどめます。
下取りに出す車が普通車か軽自動車かで、準備すべき書類や手続き先が大きく変わります。
以下の表で違いを確認してください。
| 普通車(登録自動車) | 軽自動車 | |
|---|---|---|
| 手続き先 | 運輸支局 | 軽自動車検査協会 |
| 譲渡証明書 | 必要 | 不要 |
| 印鑑 | 実印と印鑑証明書(3か月以内) | 認印で対応可能な場合が多い |
| 手続きの代行 | 販売店が移転登録を代行 | 販売店が手続きを代行 |
普通車の感覚で印鑑証明書を取りに行ったけれど、軽自動車だから不要だった、という話は珍しくありません。
逆に、軽自動車しか売ったことがない方が普通車を下取りに出す場合は、実印と印鑑証明書の準備が追加で必要になります。
手続きの違いを事前に把握しておくことで無駄な手間を省けます。
まとめ
譲渡証明書と聞くと身構えてしまいますが、下取りや買取では販売店が書類を準備し、手続きも代行してくれるのが実務上の主流です。
売主がやるべきことは、渡された書類の指定欄に記入・押印することと、事前に手元の書類を整えておくことに集約されます。
この記事で繰り返しお伝えしてきた判断軸を、最後に整理します。
- 譲渡証明書の用紙は販売店に確認するのが先。自分でダウンロードするのは案内されたときだけ
- 自分で用意する場合は国土交通省の公式様式(第21号様式)を使う
- 普通車の押印は実印。印鑑証明書(3か月以内)の取得を忘れない
- 車検証の住所と現住所がずれていないか、契約前に確認する
- 軽自動車は譲渡証明書が不要で、認印で手続きが進む
ネットで「譲渡証明書 ダウンロード」「書き方」と検索すると情報量の多さに圧倒されますが、下取りに限れば、売主自身が書類のすべてを揃える場面はかなり限定的です。
それよりも、印鑑証明書の有効期限や車検証の住所確認など、手元で完結する準備にこそ意識を向けてください。
段取りよく書類を整えておけば、当日の手続きは驚くほどスムーズに進みます。




