豆知識 2026年9月18日

車売却の委任状は本当に必要?【実印を押す理由と譲渡証明書との違い】

普通車を買取店へ売却する場合、名義変更の登録手続きは買取店側が代行するのが一般的です。

このとき、旧所有者である売主が用意する書類の一つが委任状です。

契約の場で「委任状に実印を押してください」と言われると、何を任せる書類なのか、本当に押して大丈夫なのかと戸惑うかもしれません。

さらに譲渡証明書も渡されると、同じような書類が2枚あるように見えて混乱しがちです。

筆者コメント

筆者はこれまでに複数台の普通車と軽自動車を売却し、委任状・譲渡証明書の記入や実印の準備を実際に経験してきました。

自分で陸運局へ出向いて名義変更をしたこともあり、その手間を知っているからこそ、買取店へ手続きを委任できる仕組みの意味が実感として分かります。

この記事では、委任状が必要になる条件、譲渡証明書との違い、実印の扱い、記入項目、書式の入手方法、軽自動車との違い、家族が代理で売却する場合の確認事項まで、売却の現場目線で整理しています。

車売却の委任状は代理で名義変更するときに必要

車売却の委任状は代理で名義変更するときに必要

委任状が必要かどうかは、名義変更(移転登録)の申請を誰が行うかで決まります。

買取店などの代理人が申請するなら旧所有者の委任状が必要で、所有者本人が運輸支局へ出向いて申請するなら、その申請に関する委任状は不要です。

この判断軸を先に押さえておけば、自分のケースで何を用意すべきかがはっきりします。

買取店が登録手続きを代行する普通車では用意する

普通車を買取店へ売却すると、買取店またはその委託先が運輸支局で移転登録の申請を行います。

このとき、旧所有者(売主)から「登録手続きを任せます」という意思表示を示す書類が委任状です。

国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでも、移転登録の必要書類として旧所有者の委任状が案内されています。

筆者コメント

実際に普通車を売却した際も、買取店の担当者から契約時に委任状と譲渡証明書を渡され、指定された箇所に記入・押印する流れでした。

書式は店側が用意してくれていたため、こちらで白紙の様式を探す必要はありませんでした。

つまり、買取店を利用する一般的な売却では委任状の提出はほぼ避けられません。

ただし、委任状は売買契約書そのものではなく、あくまで登録手続きの代行を許可するための書類です。

何を任せる書類なのかが分かっていれば、実印を押すことへの不安もかなり和らぐはずです。

所有者本人が申請するなら委任状は不要

所有者本人が直接、運輸支局の窓口で移転登録を申請する場合は、自分自身の手続きに対する委任状は不要です。

代わりに、申請書への本人の実印押印や印鑑証明書の添付で本人確認が行われます。

ただし、個人で名義変更を行うには、運輸支局への訪問、車庫証明の取得、各種書類の準備と記入が必要になります。

筆者コメント

筆者も過去に自分で陸運局へ出向いて名義変更をした経験がありますが、書類の準備や窓口での手続きにかなりの手間がかかりました。

買取店へ売却する場面では、手続きを委任できるのは大きな利点です。

  委任状 補足
買取店などが移転登録を代行する 必要 旧所有者の実印を押した委任状を提出
所有者本人が運輸支局で申請する 不要 本人の実印と印鑑証明書で対応

車売却の委任状と譲渡証明書は役割が違う

車売却の委任状と譲渡証明書は役割が違う

委任状の意味が分かっても、同時に渡される譲渡証明書との違いが分からないという疑問は残りやすいものです。

この2つは名前も見た目も似ていますが、果たす役割がまったく異なります。

委任状は名義変更などの申請を任せる書類

委任状は、旧所有者が「移転登録の申請手続きを代理人に任せます」という意思を示すための書類です。

記載内容は、受任者(手続きを行う人)の情報、委任する手続きの内容、対象車両の情報、そして委任者(旧所有者)の住所・氏名・実印です。

委任状によって権限が与えられるのは登録申請の代行であり、車の所有権を移すこと自体を証明する書類ではありません。

譲渡証明書は車を譲り渡したことを示す書類

譲渡証明書は、旧所有者から新所有者へ車を譲渡した事実を証明する書類です。

道路運送車両法施行規則に基づく第21号様式として、国土交通省が様式を定めています

車名、型式、車台番号といった車両情報のほか、譲渡年月日、譲渡人と譲受人の氏名・住所を記載し、旧所有者(譲渡人)が実印を押印します。

売却時には委任状と譲渡証明書の両方が必要になるケースがほとんどです。

2枚ある理由を整理すると、次のようになります。

  委任状 譲渡証明書
目的 登録申請の代行を任せる 車の譲渡の事実を証明する
旧所有者が記入・押印する はい(実印) はい(実印)
新所有者(買取店側)の情報 受任者欄に記載 譲受人欄に記載
売却時に両方必要か 代行申請の場合は必要 移転登録に原則必要

車売却の委任状で記入する項目と実印の扱い

車売却の委任状で記入する項目と実印の扱い

書類の役割が分かったところで、実際に記入する場面を想定して、どこに何を書くのか、実印をどう扱うのかを確認していきます。

実印は印鑑証明書と同じ印鑑を使う

普通車の移転登録では、旧所有者は委任状と譲渡証明書の両方に実印を押します。

ここでいう実印とは、市区町村に印鑑登録をしている印鑑のことで、印鑑証明書に記載された印影と一致する必要があります。

印鑑証明書は発行から3か月以内のものが求められるのが実務上の基本です。

国土交通省の移転登録手続き案内でも、旧所有者の印鑑証明書が必要書類として示されています。

筆者コメント

筆者が普通車を売却した際も、事前に印鑑証明書を取得しておき、契約当日に委任状・譲渡証明書へ実印を押印しました。

印鑑証明書と実印はセットで準備しておくと、当日の手続きがスムーズに進みます。

なお、印影がかすれたり欠けたりすると、印鑑証明書との照合で不一致と判断される可能性があります。

押印時は朱肉をしっかりつけ、平らな場所で真上からまっすぐ押すのが基本です。

受任者や車両情報は売却先の指示を確認して書く

委任状に記入する主な項目は以下のとおりです。

  1. 受任者の氏名・住所
  2. 委任する内容
  3. 自動車登録番号または車台番号
  4. 委任者の氏名・住所・実印

受任者の氏名・住所は、手続きを代行する人や法人の情報です。

委任する内容には、移転登録などを記載します。

受任者欄は、買取店側が記入する場合と、売主に記入を求める場合があります。

どの欄を自分で書き、どの欄を空けておくかは、売却先の指示に従うのが確実です。

車両情報は車検証に記載された内容をそのまま転記します。

車名、車台番号、登録番号を一字でも間違えると書類不備になる可能性があるため、車検証を手元に置いて照合しながら記入するのが安心です。

筆者コメント

筆者の経験でも、記入の際は必ず車検証と印鑑証明書を並べて確認していました。

委任者欄の住所・氏名は印鑑証明書の記載と一致させる必要があるため、普段の略記ではなく、証明書に記載されたとおりの表記で記入します。

車売却用の委任状と譲渡証明書を入手する方法

車売却用の委任状と譲渡証明書を入手する方法

書式をどこから手に入れるかで悩む方も少なくありませんが、結論から言えば、まず売却先の案内を確認するのが先です。

まず買取店の指定書式があるか確認する

買取店を利用する売却では、委任状も譲渡証明書も店側が用意した書式を契約時に渡されるのが一般的です。

筆者コメント

筆者がこれまで売却した複数のケースでも、いずれも買取店側から書式を受け取り、自分で白紙の様式をダウンロードする場面はありませんでした。

買取店の書式には、店側の情報があらかじめ印字されていたり、記入すべき欄が分かりやすく指示されていたりすることがあります。

指定書式がある場合は、そちらを使うのが確実です。

自己判断で別の様式を用意すると、二度手間になることもあるため注意してください。

PDFやExcelで準備するときは公式様式を確認する

個人間売買や、買取店から書式を受け取れなかった場合など、自分で様式を用意する必要があるときは、地方運輸局のウェブサイトで公開されている公式様式を利用できます。

たとえば東北運輸局の様式ダウンロードページでは、委任状と譲渡証明書のPDF・Excel形式がそれぞれ公開されています。

筆者コメント

他の地方運輸局でも同様の案内があるため、管轄の運輸局サイトを確認してみてください。

ダウンロードした様式はA4の普通紙に印刷して使用します。

感熱紙やレシート用紙などは使えないため、コンビニのプリントサービスを利用する場合も用紙の種類を確認しておくと安心です。

なお、インターネット上にはさまざまなサイトが委任状や譲渡証明書のテンプレートを配布していますが、記載項目が公式様式と異なる場合もあります。

迷ったときは、運輸支局の公式様式を選んでおくのが手堅い判断です。

軽自動車の売却は普通車と必要書類が異なる

軽自動車の売却は普通車と必要書類が異なる

普通車の書類が整理できたところで気になるのが、軽自動車でも同じ委任状が必要なのかという点です。

軽自動車の名義変更手続きは、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で行います。

そして代理で手続きをする場合に使われるのは、普通車の委任状ではなく「申請依頼書」という別の書類です。

さらに大きな違いとして、軽自動車の名義変更では原則として実印や印鑑証明書が不要です。

筆者コメント

筆者も軽自動車を売却した際、認印だけで手続きが完了し、普通車との手軽さの差を実感しました。

  普通車 軽自動車
手続き窓口 運輸支局 軽自動車検査協会
代理手続きの書類 委任状 申請依頼書
印鑑 実印(印鑑証明書とセット) 原則不要(以前は認印が必要だったが手続きの押印は廃止)
印鑑証明書 必要(発行から3か月以内) 原則不要

普通車の感覚で「実印と印鑑証明書を用意しなければ」と構える必要はありませんが、逆に軽自動車の経験だけで普通車の売却に臨むと書類不足になる可能性があるため、車種に合わせて確認することが大切です。

家族などが代理で車を売却するときの確認事項

家族などが代理で車を売却するときの確認事項

ここまでは買取店が登録手続きを代行するケースを中心に説明してきましたが、もう一つ「代理」に関する疑問として、家族などが所有者に代わって売却手続きそのものを進める場面があります。

たとえば、高齢の親が所有する車を子どもが代わりに売却したい、入院中で本人が対応できないといったケースです。

この場合、登録手続きの代行とは性質が異なり、売却行為の代理として扱われます。

買取店によって、本人確認の方法や必要書類の扱いが異なることがあるため、一律の書類だけで売却が成立すると断定はできません。

事前に売却先へ「所有者本人ではなく家族が手続きを進めたい」と伝え、何が必要かを確認するのが確実です。

確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  1. 所有者本人の意思確認の方法
  2. 所有者と代理人の関係を示す書類
  3. 車検証上の所有者名義

所有者本人の意思確認をどの方法で行うかは、電話確認、委任状などが考えられます。

所有者と代理人の関係を示す書類として、戸籍謄本などが必要か確認します。

筆者コメント

車検証上の所有者が本人名義になっているかも確認が必要で、ローン残債がある場合はディーラーやローン会社の名義になっていることがあります。

登録手続きの委任状と、売却行為の代理に必要な書類は別の話です。

この違いを混同しないよう注意してください。

書き損じや空欄で手続きが止まるポイント

書き損じや空欄で手続きが止まるポイント

書類の記入で特に注意したいのが、ちょっとした記載ミスや空欄が原因で手続きが差し戻されるケースです。

委任状や譲渡証明書は、修正液や修正テープでの訂正が認められていません。

書き損じた場合は、委任者本人の訂正印(実印)で訂正するか、新しい用紙に書き直す必要があります。

買取店で記入する際は、万が一の訂正に備えて捨印を求められることもあるため、その場で対応できるよう実印を持参しておくと安心です。

もう一つ確認しておきたいのが、車検証の住所と印鑑証明書の住所が一致しているかどうかです。

引っ越しをしたあとに車検証の住所変更をしていないと、2つの書類の住所が食い違います。

この場合、住所の変遷を証明するために住民票(または戸籍の附票)が追加で必要になることがあります。

筆者コメント

筆者も、車検証の住所と現住所が異なっていた車を売却した際に住民票を追加で用意した経験があります。

引っ越し歴がある方は、売却前に車検証の住所を確認しておくと、当日になって書類不足で慌てることを防げます。

手続きが止まりやすい主な原因をまとめると、次のようになります。

  1. 住所・氏名が印鑑証明書と一致していない
  2. 印影がかすれている、欠けている
  3. 車台番号や登録番号の転記ミス
  4. 修正液で訂正してしまった
  5. 住所不一致時の住民票を用意していない

委任状や譲渡証明書の住所・氏名が印鑑証明書の記載と一致していない場合は、手続きが止まる原因になります。

印影がかすれている、欠けている場合も注意が必要です。

車台番号や登録番号の転記ミスも書類不備につながります。

修正液で訂正してしまった場合も、そのまま手続きを進められないことがあります。

車検証の住所と印鑑証明書の住所が違うのに住民票を用意していない場合も、追加書類が必要になります。

まとめ

まとめ

普通車を買取店へ売却する場合、買取店が名義変更を代行するために委任状が必要になるのが基本の形です。

ここまでの内容を振り返ります。

  ポイント
委任状が必要なケース 買取店など代理人が移転登録を申請する場合
委任状と譲渡証明書の違い 委任状は手続きの代行許可、譲渡証明書は譲渡の事実証明
実印と印鑑証明書 普通車では両方が必要。印鑑証明書は発行から3か月以内
書式の入手 まず買取店の指定書式を確認。自分で用意するなら運輸局の公式様式
軽自動車との違い 委任状ではなく申請依頼書。実印・印鑑証明書は原則不要
住所の不一致 車検証と印鑑証明書の住所が違う場合は住民票が必要になることがある

委任状や譲渡証明書と聞くと身構えてしまいがちですが、買取店を利用する売却であれば、書式は店側が用意してくれるケースがほとんどです。

自分でゼロから作成しなければならない場面は限られています。

やるべきことは、印鑑証明書と実印を事前に準備し、車検証の住所が現住所と一致しているか確認しておくこと。

この2点を押さえておけば、記入の場面で迷うことは少なくなります。

筆者コメント

名義変更の手続きを自分で行う手間を知っている立場から言えば、委任状1枚で登録手続きを任せられる仕組みは、売主にとって合理的な選択です。

書類の意味を理解したうえで、安心して手続きを進めてください。

この記事を書いた人
執筆・監修
堀内秀磨
Shuma Horiuchi
車買取や車一括査定サービスを複数回利用し、自身でも実際に車を売却してきました。知人の車売却では、売却方法の相談や売買交渉のサポートにも携わっています。中古車の売買経験があり、古物商許可(自動車商)も取得。実体験と調査をもとに、車の査定や売却で後悔しないためのポイントや、買取サービスを利用する際の注意点をわかりやすくお伝えします。